2026年10月20日

こんにちは。東所沢内科・循環器クリニックです。
2026年10月、埼玉県内では例年より早い時期からインフルエンザの流行が広がっています。
埼玉県が発表した10月5日〜11日の感染症情報では、1週間の報告患者数は3,695人、定点医療機関あたり20.99人となり、インフルエンザ流行注意報が発令されています。
今回は、インフルエンザの最新の流行状況と、当院で主に使用している治療薬「ゾフルーザ」についてご紹介します。

インフルエンザは早めの治療が大切!
インフルエンザでは、突然の高熱、強い倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛、咳、のどの痛みなどが現れます。
通常の風邪よりも全身症状が強いことが特徴ですが、高齢者などでは高熱が出ない場合もあります。
インフルエンザの治療薬は、一般的に発症後48時間以内に服用を開始すると効果が期待できます。
ただし、症状が出てすぐの検査では陰性になることもあるため、症状や発症からの時間を考慮して診断します。
ゾフルーザ®は「1回の内服」で治療が完了!
当院では、患者さんの年齢や病状に応じて、ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル)を主な治療選択肢の一つとしています。
ゾフルーザの大きな特徴は、原則として1回飲むだけで治療が完了することです。
従来のタミフルは通常1日2回、5日間内服しますが、ゾフルーザは体重に応じた量を1回服用します。
また、ウイルスが増えるために必要な働きを阻害することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑えます。
服用回数が少なく、飲み忘れの心配が少ないこともメリットです。
最新研究で「家族への感染を減らす効果」が報告!
2025年に世界的な医学誌『New England Journal of Medicine』に発表された研究では、ゾフルーザを服用した患者さんから、同居家族へのインフルエンザウイルスの感染が減少することが示されました。
発症48時間以内に治療を開始した場合、5日以内に同居家族へウイルスが伝わった割合は次のとおりでした。
同居家族へのウイルス伝播率(5日以内)
※棒グラフは0〜15%を基準として表示しています。対象は試験で評価された同居家族です。
つまり、ゾフルーザには本人の症状を改善するだけでなく、家族への感染拡大を抑える可能性も期待されています。
ただし、この研究では症状を伴う家族内感染の減少については統計学的に明確な差が確認されておらず、感染を完全に防げるわけではありません。
服用後も手洗いや換気、マスクなどの感染対策が重要です。
日本感染症学会の最新提言でも有効性を評価
2025年に改訂された日本感染症学会の提言では、12歳以上の患者さんにおいて、ゾフルーザはA型・B型のいずれにも有効であり、従来の治療薬と同等以上の効果が期待できると評価されています。
特にB型では、従来薬より優れた治療効果が報告され、第一選択として推奨されています。
12歳未満の小児にもゾフルーザは使用できる?
「子どもにもゾフルーザは使えるの?」
そんな疑問をお持ちの保護者の方も多いと思います。
実は近年、小児に対するゾフルーザの有効性や安全性を裏付ける研究が報告されています。
miniSTONE-2試験(1~11歳)
感染性ウイルスの排出が検出されなくなるまでの時間(中央値)
※感染性ウイルス排出の測定結果であり、 感染力が完全になくなる時間を意味するものではありません。 症状の改善時間とは異なる指標です。
出典:Baker J, et al. Pediatr Infect Dis J. 2020; 39:700–705. miniSTONE-2試験。
2025年発表・日本国内の臨床試験
対象:6~11歳の小児195人
インフルエンザ症状が改善するまでの時間
※症状改善までの時間の中央値はゾフルーザ群44.8時間、 タミフル群72.2時間でした。差の推定値は −27.4時間(95%信頼区間 −52.7~6.5時間)です。 この試験は優越性を確証したものではなく、 すべての小児でゾフルーザが早く効くことを 示すものではありません。
出典:Clinical and Virologic Outcomes of
Baloxavir Compared with Oseltamivir in
Pediatric Patients with Influenza in Japan.
Infectious Diseases and Therapy. 2025.
論文を読む
小児でもゾフルーザは有力な治療選択肢の一つです。
ただし、特に低年齢のお子さんでは、薬が効きにくくなるウイルスの変異が生じることがあるため、すべてのお子さんに一律で推奨されるわけではありません。
当院では年齢や体重、症状などを考慮し、適切な治療薬をご提案しています。
心臓病や生活習慣病のある方は特に注意!
インフルエンザは、単に高熱が出るだけの病気ではありません。
感染に伴う炎症や脱水などが心臓に負担をかけ、心不全や冠動脈疾患を悪化させる可能性があります。
また、インフルエンザ感染後には急性心筋梗塞の発症リスクが一時的に高まることも報告されています。
高齢者や心臓病、糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方は、特に早めの受診をおすすめします。
当院では発熱外来に対応しています
当院では、インフルエンザをはじめとした発熱症状の診療に対応しています。
発熱外来専用スペースを設けており、お車でお待ちいただくことも可能です。

インフルエンザワクチン接種も実施していますので、予防から診断・治療までお気軽にご相談ください。
「今はまだ元気だから大丈夫」ではなく、感染症から自分と大切な家族を守るために。
体調に異変を感じたら、無理をせず早めにご相談ください。
東所沢内科・循環器クリニック
院長 小泉 貴洋