「寝不足くらい大丈夫」は危険?睡眠と心臓・血管の意外な関係|東所沢内科・循環器クリニック|所沢市の内科・循環器内科

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「寝不足くらい大丈夫」は危険?睡眠と心臓・血管の意外な関係

「寝不足くらい大丈夫」は危険?睡眠と心臓・血管の意外な関係|東所沢内科・循環器クリニック|所沢市の内科・循環器内科

2026年6月27日

「寝不足くらい大丈夫」は危険?睡眠と心臓・血管の意外な関係
朝の寝室で眠る人のイメージ写真
睡眠と健康

「寝不足くらい大丈夫」は危ない?
睡眠時間と死亡率の意外な関係

忙しい毎日のなかで、つい削られがちな睡眠。けれど睡眠は、疲れを取るだけでなく、心臓・血管・脳・代謝を守る大切な時間です。今回は、睡眠時間と健康リスクの関係を、一般の方にもわかりやすく解説します。

東所沢内科・循環器クリニック
東所沢内科・循環器クリニックからのメッセージ
地域の皆さまの健康を、少しでも長く、力強く支えたい。

東所沢内科・循環器クリニックは、現在開院に向けて順調に準備を進めています。 地域の皆さまが安心して相談できるクリニックを目指し、診療体制・検査体制・院内環境を一つひとつ整えています。

今回は、当院ホームページでの初めての健康コラムとして、「睡眠」と「健康寿命」、そして「循環器疾患」との関係を取り上げました。 今後も、睡眠、血圧、生活習慣病、心臓・血管の病気などについて、一般の方にもわかりやすい情報を継続して発信していきます。

病気になってから治療するだけでなく、正しい知識を広め、早期発見・早期介入につなげることで、地域全体の健康寿命を延ばし、医療レベルの向上に少しでも貢献していきたいと考えています。

「毎日5〜6時間しか寝ていないけれど、なんとか動けている」「休みの日に寝だめすれば大丈夫」。 そう思っている方は少なくありません。

しかし、近年の研究では、睡眠時間は生活の質だけでなく、将来の病気や死亡リスクとも関係することがわかってきています。 大切なのは、単に「長く寝ればよい」という話ではありません。睡眠は短すぎても、長すぎても注意が必要です。

この記事のポイント
成人では、まず6時間未満の睡眠を避け、できれば7時間前後の安定した睡眠を目指すことが大切です。 ただし、睡眠は「時間」だけでなく、「朝すっきり起きられるか」「日中に眠気が強くないか」「いびきや無呼吸がないか」も重要です。

睡眠時間と死亡率は「U字型」の関係

多くの研究で、睡眠時間と死亡リスクの関係は、アルファベットの「U」のような形を示すことが報告されています。 つまり、睡眠時間が短すぎる人だけでなく、極端に長い人でも死亡リスクが高くなる傾向がある、ということです。

睡眠時間と健康リスクのイメージ
7時間前後 短すぎる 長すぎる 健康リスク 短すぎても、長すぎても注意 リスクが低いとされる目安

日本人約10万人を対象に平均約20年追跡したJPHC研究では、睡眠時間7時間の人と比べて、10時間以上眠る人では死亡全体のリスクが男性で1.8倍、女性で1.7倍高いという結果でした。 循環器疾患による死亡についても、男性では9時間以上の睡眠でリスク上昇が示されています。

ここで大事なのは、「長く寝ること自体が直接悪い」と決めつけないことです。 長時間睡眠の背景には、睡眠時無呼吸症候群、うつ、慢性疾患、体調不良などが隠れている可能性があります。 「長く寝ているのに疲れが取れない」は、体からのサインかもしれません。

では、何時間寝るのがよいのか?

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人ではおおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられ、 少なくとも6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。

一方、米国CDCは成人の推奨睡眠時間を7時間以上としています。 現実的には、一般の方には次のように考えるとわかりやすいです。

睡眠時間の考え方

まずは6時間未満を避ける。
できれば7時間前後を安定して確保する。
そして、朝起きたときに休まった感覚があるかを見る。

睡眠は時間だけでなく、質も重要です。 7時間寝ていても、いびきが強い、夜中に何度も目が覚める、日中に強い眠気がある場合は、睡眠の質が落ちている可能性があります。

朝の光が入る寝室のイメージ写真

「寝だめ」は万能ではありません

平日に睡眠不足が続き、休日に昼まで寝る。これは多くの人がやりがちなパターンです。 しかし、睡眠不足は単純に「週末にまとめて返済」できるものではありません。

厚生労働省の睡眠ガイドでは、休日の寝だめは平日の日中の眠気を完全には解消できず、メリットは限定的とされています。 また、平日と休日で起床時刻が大きくずれると、体内時計が乱れます。 これは「社会的時差ボケ」と呼ばれ、肥満、糖尿病、心血管疾患、うつ病などのリスクと関連することが報告されています。

理想は「休日に取り返す」よりも、平日の睡眠不足を作らないことです。

レム睡眠も大切です

睡眠には、深い睡眠であるノンレム睡眠と、夢を見ることが多いレム睡眠があります。 レム睡眠は、記憶の整理、感情の調整、脳のメンテナンスに関わると考えられています。

JAMA Neurologyに掲載された研究では、レム睡眠の割合が低い人ほど死亡リスクが高いことが示されました。 高齢男性のコホートで、レム睡眠が5%低下するごとに死亡率が13%高いという関連が報告されています。

ただし、これも「レム睡眠が少ないから必ず死亡する」という単純な話ではありません。 睡眠時無呼吸、アルコール、薬剤、ストレス、加齢、生活習慣などがレム睡眠を減らしている可能性があります。

睡眠不足が体に悪い理由

睡眠不足が続くと、自律神経やホルモンのバランスが乱れます。 食欲を抑えるホルモンであるレプチンが低下し、食欲を高めるグレリンが増えることで、食欲が増し、肥満につながる可能性があります。

また、睡眠不足は血圧、血糖、炎症、ストレス反応にも影響します。 結果として、高血圧、糖尿病、心血管疾患、メンタル不調のリスクと関係してくると考えられています。

血圧・心臓

睡眠不足は交感神経を高め、血圧や心臓への負担に関係します。

血糖・体重

食欲や代謝に関わるホルモンが乱れ、肥満や糖尿病リスクと関連します。

脳・こころ

集中力、記憶、感情の調整にも睡眠は深く関わっています。

睡眠と循環器疾患は深く関係しています

睡眠は、心臓や血管にとっても大切な休息時間です。 睡眠不足や睡眠の質の低下が続くと、夜間でも交感神経が高ぶりやすくなり、血圧・脈拍・血糖・炎症反応などに影響します。 その結果、高血圧、心不全、狭心症・心筋梗塞、脳卒中、不整脈などの循環器疾患と関係してくることがあります。

特に睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が止まることで血液中の酸素が下がり、体が何度も「苦しい状態」になります。 そのたびに心臓は余計に働き、血圧も上がりやすくなります。 厚生労働省のe-ヘルスネットでも、睡眠時無呼吸症候群では酸素濃度低下により心臓の働きが強まり、高血圧や動脈硬化、心筋梗塞・脳梗塞のリスクにつながることが説明されています。

高血圧

夜間の酸素低下や覚醒反応により、血圧が下がりにくくなります。治療しても血圧が下がりにくい方では特に注意が必要です。

心不全・狭心症

低酸素や血圧上昇は、心臓への負担を増やします。息切れ、むくみ、胸部症状がある方では睡眠の確認も大切です。

不整脈

睡眠時無呼吸症候群は、心房細動などの不整脈とも関連します。動悸や脈の乱れがある方は要注意です。

アメリカ心臓協会の科学的声明でも、閉塞性睡眠時無呼吸は高血圧、心不全、冠動脈疾患、肺高血圧、心房細動、脳卒中の患者さんで高頻度にみられるとされ、 循環器診療のなかでも見逃されやすい問題として扱われています。

こんな人は睡眠時無呼吸症候群にも注意

次のような症状がある人は、単なる寝不足ではなく、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。

  • いびきが大きい
  • 寝ている間に呼吸が止まると言われた
  • 朝起きても疲れが取れない
  • 日中に強い眠気がある
  • 高血圧がある
  • 肥満傾向がある
  • 夜間頻尿がある

特に、高血圧や心臓病、不整脈がある方では、睡眠時無呼吸症候群の確認が大切です。 長く寝ているのに眠い、寝ても疲れが取れないという人は、睡眠の「量」ではなく「質」に問題があるかもしれません。

東所沢内科・循環器クリニックでは睡眠時無呼吸症候群の検査・治療に対応しています

当院では、いびき、睡眠中の無呼吸、日中の眠気、起床時のだるさなどが気になる方に対して、 睡眠時無呼吸症候群の検査から治療までご相談いただけます。

まずは問診で症状や生活背景を確認し、必要に応じてご自宅で行う簡易検査を検討します。 検査結果や重症度に応じて、生活習慣の見直し、体重管理、マウスピース治療の相談、CPAP療法など、患者さんに合わせた治療方針を一緒に考えます。

  • 大きないびきや無呼吸を家族に指摘された
  • 日中の眠気が強い、運転中に眠くなる
  • 高血圧がなかなか下がらない
  • 心房細動などの不整脈、心不全、狭心症などがある

このような方は、睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか一度確認してみましょう。

循環器専門医の視点から、睡眠だけでなく、血圧・心電図・心不全・動脈硬化リスクなどもあわせて評価します。 「眠りの問題」と「心臓・血管の問題」を切り離さずに考えることが大切です。

今日からできる睡眠改善のコツ

  • 起きる時間をなるべく一定にする
  • 朝に日光を浴びる
  • 寝る前のスマホ・強い光を減らす
  • 夕方以降のカフェインを控える
  • アルコールを寝酒にしない
  • 寝室を暗く、静かに、涼しめにする
  • 休日の寝だめを長くしすぎない

特に大事なのは、起床時刻を大きくずらさないことです。 寝る時間が多少ずれても、起きる時間を整えると体内時計が安定しやすくなります。

まとめ:睡眠は「削る時間」ではなく「健康を守る時間」

睡眠不足は、単なる疲れや眠気の問題ではありません。 研究では、短すぎる睡眠も、極端に長い睡眠も、死亡リスクや病気のリスクと関係することが示されています。

目安としては、成人ではまず6時間以上、できれば7時間前後の安定した睡眠を確保したいところです。 そして、時間だけでなく「朝すっきり起きられるか」「日中に眠気が強くないか」「いびきや無呼吸がないか」にも目を向けましょう。

睡眠は、心臓、血管、脳、代謝を守るための大切な治療薬のようなものです。 特に高血圧、心不全、不整脈、狭心症・心筋梗塞、脳卒中のリスクがある方では、睡眠時無呼吸症候群の有無を確認することが重要です。 東所沢内科・循環器クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療まで対応し、循環器専門医の視点から心臓・血管の健康も含めて診療します。

参考文献・参考資料

  1. 厚生労働省. 健康づくりのための睡眠ガイド2023. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
  2. 国立がん研究センター 多目的コホート研究. 睡眠時間と死亡リスクとの関連について. https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8490.html
  3. Cappuccio FP, D’Elia L, Strazzullo P, Miller MA. Sleep duration and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis of prospective studies. Sleep. 2010;33(5):585-592. PubMed
  4. Leary EB, et al. Association of Rapid Eye Movement Sleep With Mortality in Middle-aged and Older Adults. JAMA Neurology. 2020. JAMA Neurology
  5. CDC. About Sleep / Sleep in Adults. https://www.cdc.gov/sleep/about/index.html
  6. American Heart Association. Obstructive Sleep Apnea and Cardiovascular Disease: A Scientific Statement From the American Heart Association. Circulation. 2021. AHA Journals
  7. 厚生労働省 e-ヘルスネット. 睡眠時無呼吸症候群 / SAS. e-ヘルスネット
  8. Unsplash. Sleep / Bedroom free images. https://unsplash.com/s/photos/sleep
文責
東所沢内科・循環器クリニック
院長 小泉 貴洋
内科専門医・循環器専門医

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